極道一家のマヤ
「マヤの兄貴が……?」
事の経緯をすべて話し終える。
「うん。私が駆けつけたときには、話は終わってたみたいで……」
「それで、ふたりでどっかへ行ったってのか?」
私は頷いた。
それと、やっぱりマヤは、まだ美都場くんに自分が誰かに嗅ぎまわれていたこと、話してなかったみたい。
もちろん、そのことも今、私が伝えた。
思っていた通り美都場くんは頭の回転が早く、すぐに事実を呑み込んでくれたようなので助かる。
『嵐』
電話の向こうの龍にも、私の話は伝わっただろう。龍が美都場くんの名前を呼んだのが聞こえた。
『あくまでもオレの仮説だが……恐らくマヤは、社家を助けに行ったんじゃないか?』
「助けに……?」
龍の言葉に、美都場くんがわずかに眉をしかめる。
だが、すぐにそれを理解したようだった。