極道一家のマヤ
「それにさ、こう言っちゃなんだけど、マヤって普通のただの女の子じゃん。マヤひとり家に連れ戻したところで、大した川崎組への戦力にはならないと思うんだけど」
社家って、世界ナンバーワンの極道一家のわけでしょ?
マヤよりも、もっと家とつながりのあるような……
別の極道の組織とかに協力を煽ったほうが断然いいと思うのは私だけ?
マヤひとりにわざわざ助けを求めに来たっていう……お兄さんの行動と考えが私には全くもってわからなかった。
「まあ……確かにお前の言うことにも一理あるだろうけどな」
私の言葉に、美都場くんも頷いている。
「けど、この一流れの件には、オレたちの知らない何かがまだ隠されているんだと思うぞ」
知らない……何か?
思わず眉をしかめる私に、フッと不敵な笑みを浮かべる美都場くん。
「例えば、マヤが相当ケンカできる……とかな」
「……ありえない」