極道一家のマヤ
懐かしき故郷、
懐かしき古い庭、
社家の敷居を……私は再び跨ぐこととなった。
「お嬢!?」
「どうしてマヤさんがここに……!?」
社家の極道住人が、透哉の隣にいる私を驚いたように見てくる。
「オレが呼んだんだ」
私が口を開く前に、そう静かに言い放ったのは透哉だった。
「今、この家は相当な危機に陥っているだろう。だから、マヤを呼んだ」
瞬間、極道の人たちの顔に浮かんだのは、困惑と落胆。
……無理もないよね。
透哉、説明が足りなすぎるんじゃないかな……
「『強力な助っ人を呼んでくる』……家を出る前にそう伝えただろう?」
透哉も透哉で、更にはそんなことを言うものだから、周りがまた困惑し出すのも無理はない。
ひとりの極道が口を開いた。
「『強力な助っ人』……それが、マヤさんだって言うんですか?」