極道一家のマヤ
当主の言葉に、その場が騒然となる。
「川崎組に……乗り込む!?」
私は特に慌てたりはしなかった。透哉の出した結論は最善だと思ったからだ。
徐々に川崎組の連中に襲われ、減っていく仲間……
これ以上の犠牲を出し、社家の戦力がなくなってしまう前に……抗争を挑むなら早いほうが断然いいだろう。
暴走族や極道同士の争いなど、この世界では日常茶飯事なことだ。警察も下手には手を出せない。
「それで、川崎組の屋敷に乗り込むのは……いつ?」
「明日だ」
私の質問に透哉はきっぱりと言った。
「明日の……日が沈む前の夕方」
その場の極道たちは驚きながらも、数秒後には力強く頷いていた。
驚くのは無理もないけど……透哉の出した結論は、決して間違ってはいない。
私も一緒に強く頷いた。