極道一家のマヤ



今までずっと、自分に無関心だと思っていた兄が……


「うん……透哉も、ね」


「死ぬな」と言ってくれた……。


社家を破滅させるわけにはいかない。


最後の切り札にと、自分を頼りに来てくれた透哉の想いに応えるためにも……


そして……


律子と東次郎の、本当の気持ちも知りたい。


私に冷たい態度をとっていたのも、家から追い出したのも……


本当にすべては私自身のためだったのか……


透哉ではなく、ちゃんと本人たちの口から……


そのためにはまず川崎組を倒し、弱まりつつある社家を復帰させていかなくてはならない。





「マヤ。お前ももう、今日は休め」


「うん……」


透哉の言葉にその場から立ち上がる。襖を閉め、私はその場をあとにした。






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