極道一家のマヤ
ああ。どうして今更、こんなに後悔ばかりするのだろう。
最後くらい、素直に「好き」って言えばよかったのかな?
だけど、どうせ最後には離ればなれになってしまうかもしれないのに……
目覚めたのは、また外も薄暗い午後の三時。
今から私は社家の仲間、そして透哉と川崎組へと向かう。
抗争が始まろうとしているというのに……不思議と心は落ち着いていた。
昨日、あの人の声を聞けたから……。
「マヤ、起きてるか?」
襖の向こうから聞こえてきた声。
……透哉だ。
「うん。起きてるよ」
「ならいい」
それだけ確認したかったのか、透哉はすぐに襖の向こうから消えた。