極道一家のマヤ
明け方近くは、一番建物の見張りが薄い。
これが透哉の考えだった。
案の定、広大な敷地を持つ『川崎組』の屋敷入口付近には、数えれるくらいの門番らしき男の数。
「まずはあそこを突破するぞ」
「うん」
透哉の言葉に私は小さく頷く。
ここは巨大な植物が幸いして屋敷からは死角となっている。
他の場所では違う仲間も自分たち同様、息を潜め同じ目の前の景色を見ているだろう。
入口を抜け中に入れば、部屋のどこかに『川崎組』のトップがいるはず。
そいつを片付けてしまえば、それだけで大きく敵へ大打撃を与えることができる。