極道一家のマヤ



「それにしても、律子以外に女がいるとは驚いた。ま、そんなことはどうでもいいか」


ごそごそとポケットを探っている川崎。


「ああ、あったあった」


取り出したのは・・・


「薬で弱っていく君をしばらく鑑賞していたいが、時間がない。君の仲間が、いつここにたどり着くかもわからないからね」


鈍くギラリと光を放つ・・・銀色のナイフ。


「そうなってしまう前に、オレは一度この屋敷から姿を消すよ」


そん・・・な・・・


こいつに逃げられたら、今起こしている社家の抗争がすべて無駄になってしまう。


透哉のためにも、仲間のためにも・・・


こいつは今すぐにでも消さなければいけない存在なのに・・・





「じゃあな。あの世で自分の組が完全に消え去る瞬間を・・・しっかりとその目に焼きつけるがいいさ」


大きく大きく、ゆっくりとかかえ上げられていく、川崎の右手。


銀色のナイフが振り下ろされる・・・・・・


そのときだった。
















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