【短編】あなたの腕
「暑いですね。」

と外回りの太陽の下、嬉しそうに汗を拭うあなたは夏がとても似合った。

もっとも私は夏のあなたしか知らない。

そしてきっと他の季節のあなたを見ることはないのだろう。


笑顔でキラキラ輝いているあなたの横で私は少しうつむいたんだ。


「大丈夫ですか?」


背恰好は大人なのに顔はまだあどけなくて。
子犬のような顔で私をヒョイと覗き込んでくる。


熱中症ではないかと優しく心配してくれるあなた。


違うんだよ。

そうじゃなくて。

ただあなたのそばにいる私が

あなたと同じように輝いていないのがツライだけ。
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