【短編】あなたの腕
一か月という限りある時間。

半分が過ぎたところであなたは言ったよね。


「僕と二つしか変わらないのにこんな仕事をされてたなんて。
 尊敬します。」


ありがとう。

でも尊敬よりももっと違う言葉が欲しかった。


「私先に帰るから。」


やっぱりひと月という時間は私的にだけじゃなくて仕事的にも短かったようで。

二人して土曜に休日出勤。

二人きりの職場は私のうるさい心臓のせいで息苦しいくらい居心地が悪かった。
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