恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
プロローグ
カーテンから透ける陽光は薄桃色だった。
私の部屋のカーテンの色のせいだ。
桃色のベールがベッドを染める。
そこに寝ている人物の肩や、毛布から伸びる脚を明るく照らす。
ベッドから少し離れた位置のひとり掛けソファに座って、私はその光景を見ていた。
心は虚ろで暗憺としていた。
素肌を毛布に包んで、眠っているのは、同期の伊川寛(いがわかん)。
私もついさっきまで、あの横で眠っていた。
なんてことをしてしまったんだろう。
私は何度目かの後悔を過らせる。
なんてことをしてしまったんだろう。
同期と、
よりにもよって寛と
寝てしまったなんて。
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