恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
幾郎は私が褒めたことで安心したようだ。
私の腰に腕を回す。


「な、今夜は時間あるんだろ?」


「………」


「うちの嫁、今日は実家に泊まりなんだ。俺は朝まで時間がある」


朝まで。
ホテルに行こうって言えばいいじゃん。

きっと、この男は私に言ってほしいんだろうな。

嬉しい。朝まで一緒にいてね。

……とか。


「ごめん……。帰って、明日の打ち合わせの資料作んなきゃ」


「え?そうなのかよ」


明らかに落胆した声で幾郎は言った。
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