恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「俺はおまえと離れてるのツラい。避けられんのもキツい。今まで通り、琴と一緒にいたい」


「お願い」


「今にしてみれば、俺は未衣奈に二股かけられても文句言えなかったんだ」


なぜ、安田の話になるのだろう。
私はかすかに笑んで言う。


「安田の話はやめるんじゃなかったの?」


「ああ、これっきりにする。
俺もずっと考えた。俺たちの友情、親友関係って何だったんだろうって。
そんで、大前提としてそこが違うんじゃないかって思い始めた」


「……どういうこと?」


「俺はおまえといる理由を『親友だから』にしておきたかっただけ。本当はとっくにおまえに惹かれてたのに、好きになってたのに、都合のいい言葉に置き換えていただけなんだ。
おまえを失いたくなかったから、傷つけ合わなくても済む穏便な関係で、繋ぎ止めておきたかったんだ。
琴を抱いて、ようやくそのことに気付いた。
おまえが一番大事だって言うのは、詭弁。
おまえが一番好きだっていうのが偽らざる本音。
未衣奈にはずっと悪いことをしていたんだと思う。浮気されて当然だよな」
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