恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
寛がうつむく。

なんで、そんなこと言うのだろう。
私は無性に悲しくなった。
悔しくなった。

寛の言う言葉はまるで裏切りみたいだった。
私たちの4年間への背信だ。


「それじゃ、私との間に友情はなかったっていうの?」


「おまえは友情を感じていてくれたんだよな。でも俺は、違ったのかもしれない。友情を隠れ蓑に、おまえに一番近い立ち位置をキープしておきたかった。でも、ブレーキが効かなくなった。
おまえに触れてから……」


「やめて!そんなこと言うのやめて!」


叫んだ私を寛が抱き寄せた。
私の抵抗を逃すまいとする腕。
唇が私の唇に重なって、私は動きを止めてしまった。

認めたくはない。しかし、待ち望んだ感触だったからだ。
< 126 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop