恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「琴といられないなら、建前なんかどうでもいい。友達関係も捨てていい。その代わり、おまえを俺のものにする」


唇を僅かに話して、寛がささやく。
間近で見つめた寛の顔は、私のよく知る顔にも、まったく別人のようにも見えた。


「やめて、寛。触んないで」


「やだ。やっと、つかまえたから、離したくない」


「私はイヤ。寛とは友達でいたい」


「それなら、今ここできちんと振ってくれ!」


寛が叫んだ。

抱き締めていた私の身体を離し、懺悔するようにうつむいて、寛は言う。


「俺は琴が好きだ。それはもう、隠しようがない。でも、おまえが無理だって言うなら、距離を置くとか友達のままとか言わず、今すぐ俺を振ってくれ!二度と関わるなと言ってくれ!」
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