恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
友情仕事
寛と初めて話したのは入社式の真っ最中だった。
私は新入社員代表だった。
社長や役員の前で、代表の挨拶をしてもとの位置に戻る。
社長がまだ話しているのに、脇からつつくヤツがいる。
それが伊川寛だった。
『俺のこと覚えてる?』
『は?』
ひそめた声。
二人とも前を向いて話を聞く振りだ。
『一次の集団面接で一緒だった』
『………』
『男らしい解答する女子がいるなぁって思ったんだよ』
『喧嘩、売ってるの?』
『ちょ……売ってないから。短気って言われるだろ、あんた』
私は睨もうかと思ったけれど、目につくだろうから止めた。
その場は無視。
変なヤツに絡まれてしまった。