恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
式の後は、研修。
初日の勤務が終わって、同期で飲みに行くと再び寛は話しかけてきた。


『上杉さん、俺のこと怒ってる?』


『怒ってないけど、失礼なヤツとは思ってる』


私は生ビールをぐいっと飲んで答えた。
いきなり「男らしい」とか「短気」とか言われて喜ぶ女子がいるかっての。


『マジでか!俺、初日から失敗してる!』


寛がわざとらしく頭を抱えた。
でも、会話を諦める気はないらしい。


『なあ、上杉さんは配属希望、一課なんだろ?』


『そうだけど』


確かに面接でそう言った。
こいつ、そんなことまで覚えてたのか。
第一営業部は官公庁相手の仕事が多く、一課はメインチームだ。


『俺もなんだ。もしかしたら、一緒になるかもしれないし、仲良くしようよ』


『……新人が一課に入れるかな』
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