恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「そう。反省会って言ってね」
「あの頃の一課の課長、サイアクだったもんな。俺、毎日コテンパンに怒鳴られまくってた」
「私もしょっちゅう『女のクセに』って言われてたな。新人の頃ってこんなもんだって思ってたけど、アレって立派なセクハラだよね」
「ああ、あとパワハラな。つーか、琴は米村さんについてたのがキツそうだったけど」
「キツイなんてもんじゃなかったよ」
私は苦笑いする。
米村という先輩は女性営業職で、とにかく厳しい先輩だった。男社会で負けないよう気張っていたのかもしれないけれど、同性で直の後輩である私には半端ない当たりの強さだった。
彼女が移動になるまでの二年半、私はいつだって暗い顔をしていたように思う。
「ほぼ毎日、ここに来てたね」
「そうだな。二人で何も喋らんなくなった日もあったよな。凹み過ぎて」
「口開くと泣けてきてね。何にも言えなかったね」
いつの間にかここに来なくても平気になっていた。
その代わり、私たちは二人であの赤提灯に飲みに行くようになった。
失敗もパワハラも、お酒で笑い飛ばせるようになった私たちは、少しずつ大人になっていったのかもしれない。
「あの頃の一課の課長、サイアクだったもんな。俺、毎日コテンパンに怒鳴られまくってた」
「私もしょっちゅう『女のクセに』って言われてたな。新人の頃ってこんなもんだって思ってたけど、アレって立派なセクハラだよね」
「ああ、あとパワハラな。つーか、琴は米村さんについてたのがキツそうだったけど」
「キツイなんてもんじゃなかったよ」
私は苦笑いする。
米村という先輩は女性営業職で、とにかく厳しい先輩だった。男社会で負けないよう気張っていたのかもしれないけれど、同性で直の後輩である私には半端ない当たりの強さだった。
彼女が移動になるまでの二年半、私はいつだって暗い顔をしていたように思う。
「ほぼ毎日、ここに来てたね」
「そうだな。二人で何も喋らんなくなった日もあったよな。凹み過ぎて」
「口開くと泣けてきてね。何にも言えなかったね」
いつの間にかここに来なくても平気になっていた。
その代わり、私たちは二人であの赤提灯に飲みに行くようになった。
失敗もパワハラも、お酒で笑い飛ばせるようになった私たちは、少しずつ大人になっていったのかもしれない。