恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「あー、ダメだな」


随分して、寛が言った。


「俺がバカなんだとは思う。でも、やっぱり琴が好きだ」


私は顔を上げ、そして改めて首を横に振る。
寛は私の反応に動じる様子はない。


「おまえの気持ち聞いてさ、避難場所にしてたって言うなら、俺だってそうかもしれないよ。
琴は友情を隠れ蓑に逃げ場を求め、俺は友情の保険に恋心を言葉にしなかった。
俺たち二人とも親友ごっこしてただけなんだ。
同罪だよ、同罪」


「寛………」


「琴の気持ち、聞けてよかった。おまえが執着してたもんの正体も、おまえが俺を好きってことも。
それだけで、新天地でもやっていけそうな気がする」


私はハッとした。
寛は心を決めたのだ。


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