恋よりもっと。～トモダチ以上カレシ未満～

「結婚式場、1年前ならキャンセル利くかな？」


寛の呟きに、私は二人の関係が完全に終わるのだとわかった。

そりゃ、そうだよね。
婚約までしといて、他の男と浮気なんて。
慰謝料請求できる事由だよ。


「キャンセル料とか諸々、全部あっちに出させな」


「琴は怒んなくていい。これから婚約破棄のバタバタであっちもキツいだろうからさ、未衣奈のイイ先輩でいてやってくれよ」


「そんなの安田の自業自得じゃん。私は親友を裏切った女に優しくしてやるほどお人好しじゃないよ！」


寛が私の怒声をゲラゲラ笑う。
痛ましい光景だった。
笑わないと、飲まないとやってられない。

今回の鉄道の仕事だって、結婚のはずみになるようにって、本人も周りも頑張ってたのに。

こんなことってない。