恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
あれ以来、寛とはろくに会話してない。
表向き普通に仕事しているクセに。

私が避けるようにしているせいか、寛も無駄話をしかけてこない。
実際、寛が何と思っているかはわからないけれど。

気まずい。

事故だと言い切っておいて、後悔が胸を埋める。

なんで、寝てしまったのだろう。

どうして、私たちの友情を台無しにすることを許してしまったのだろう。

私の煩悶は、いつもの赤提灯についても続いていた。


寝たりしなければ、
今日もここで寛と楽しく向かい合えていたのに。


同時によぎる。
あの夜の寛の声。

私に触れる温度。
吐息。

寛の指が私の肌をたどる。

寛の全部。
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