恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
突如入ってきた私を見て、寛が驚きの表情をする。

安田の口から
「ひっ!」
と小さい悲鳴が漏れた。

あんなに堂々と私を罵っていた彼女は、当の本人を前にすると、いつもの気の小さい女子に戻ってしまったようだ。


でも、私は悪口を言い返しにきたのではない。
寛の不利益を排除するためにきたのだ。


「悪い、廊下にまで聞こえてたからつい」


私は二人に向かって闖入を詫び、
改めて安田を見つめた。


「私と寛は付き合うような関係じゃないよ」


「上杉先輩……私……あんなこと言うつもりじゃ……」


「安田の言う通り、私と寛の親密さって、良くないことなのかもしれないね。お互いのパートナーを傷つける結果になるんだから。いい勉強になったよ。私も寛も大人になって、ある程度節度ある友情を築くべきなんだ。
……だからって、浮気は駄目だろうけどさ」


安田の怖じけた瞳に再び怒りの炎がちらついた。





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