恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「とにかく、私は言いたいことは言った。解きたい誤解は弁明した。
あとは、二人で話し合いなよ」


私は寛に目配せした。
たぶん、寛も私の乱入の理由に気づいたのだろう。

間を置かず、安田に向かって言った。


「話し合うことは俺からはない。
別れよう。
その一択しか提示できない」



安田が愛らしい顔を歪めた。
唇を噛み締め、目を瞠り、怒りと悔しさと悲しみを綯い交ぜにしたその表情。


女の表情だった。
良くも悪くも。



「質問ですけど」


血が滲みそうに噛み締められた唇がわずかに開く。
安田が私を睨んでいた。


「男女って友情のレベルで本当に分かり合えるんですかねぇ。お二人はそれを体現できてるんですかぁ?」


思い描いた未来を失った彼女。
憎しみを込めた意趣返しだ。

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