恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
5分ほど後に寛がオフィスに入ってきた。


私のデスクに無糖のコーヒーを置く。
偶然だけど、いつも飲んでるやつを知って買ってきてくれたのだ。


「お恥ずかしいところをお見せしまして」


私の横、普段は原西さんが座る席に座り、寛が言った。

言葉は殊勝だったが、態度は椅子にふんぞり返っている。
表情はスッキリとしていた。


「どうして、わかったの?妊娠が嘘って」


「あいつんち行ったら、生理用品がぶん投げてあった。使用したばっかのヤツ。ちゃんと汚物入れに入れろって話」


「うわ、だらしな。人は見かけによりませんな」


「まあ、そんで、出血してるなら病院行けって言ったら、何かゴニョゴニョごまかそうとするだろ?それで、ピンときた」


もっと、早くピンとこいよ。

って私も一緒に安田の嘘に騙されてたわけだけど。

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