恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「これで、正式に婚約破棄。フリーだ」


寛が苦笑いする。

何か気の利いた返しを考えて、やめた。

私のする話は、やっと解けた二人の空気を再び凍てつかせるものだから。


「私もフリーだよ、だから、提案」


「何?」


「私たち、少し距離を置こう」


寛が表情を曇らせた。
私の言う意味を計りかねている様子だ。


「距離って友達でも置くもんなの?倦怠期のカップルが置くもんじゃなくて?」


「うん、安田も言ってたけど、私たちの関係は近すぎるのかもしれない。私たちがそう思わなくても、周りはね。
私も寛も新しい恋人ができた時、今度こそあーいう我慢させたくないじゃん?恋人に異性の親友がいるって我慢」


「……俺と琴の関係を、周りにとやかく言われたくない。誰も、わかんないだろ?俺が琴を大事に思ってる気持ちの密度」


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