恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「僕と上杉は、この仕事をもって異動になります。第三営業部に」


「えぇっ!?マジですか?」


「初耳!!」


原西さんと大川さんが声を上げた。
当たり前だ。私たちだって、今日午後に聞いたばかり。

私は後を引き取って話す。


「今回のスイートルームのリネンね、社内的にも結構好評で、マッチングした私と越谷さんを第三営業部が引っ張ってくれたんだ」


第三営業部は大手ホテルにリネン製品を企画営業、卸しを手掛けている。
以前は第一営業部の一部だったが、一昨年から独立して仕事の幅を広げているところだ。


「僕はずっと第三の希望だったから、嬉しい話だよ」


「いいさ、越谷!俺を捨てて行くがいい!」


ニコニコの越谷さんの横で相模課長がふてている。


「はい、遠慮なく捨てさせていただきますね」


越谷さんは動じない。課長と付き合いが長い分、遠慮がない。

私は相模課長の横で寛が私を見ていることに気付いていた。
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