恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
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第三営業部は思いの外、忙しい部署だった。

私と越谷さんはそれぞれコンビになる営業について、毎日客先を渡り歩いた。
1ヶ月後には異動する彼ら。その担当する客先を全部受け継ぐことになる。


「死にそうに忙しいですね」


「一課も忙しかったけど、こっちは完全に人手不足の忙しさだね」


「ひとりあたりの抱える案件が多過ぎ。しかも、私ら増員じゃないんですよね。異動するメンバーの換えですもんね」


「あ、切ない。僕、ワイシャツ焼けできてる」


「私もパンプス焼けが……」


私と越谷さんはぼやきながらも、必死で仕事を覚える日々。
充実はしているけれど、実質一課で手掛けた最後の仕事から休みなしだ。


フロアの違う寛とは一切顔を合わさなくなった。
更に私は寛の誘いも断り続けている。
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