恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
営業同士が二人で外ランチなんて、よくあること。
寛と二人きりになるのを避けているのであって、他の営業さんまで避けていたらただの自意識過剰女だ。
ましてや、相手は越谷さん。


「行きます!やまがた屋のしょうが焼き定食!」


「なに、店まで指定?僕もあそこ好きだからいいけどさ」


「……じゃあ、俺もご一緒させてもらおうかな」


私と越谷さんが振り向くと、そこには寛がいた。

私はあからさまにゲッという顔をし、寛もまた不機嫌そうな顔をしている。

越谷さんひとりがにこやかに寛に笑いかけた。


「伊川だー。二週間くらいなのに、すっごく久しぶりだね。遊びに来てくれたの?」


「いやー、資料室の帰りに偶然聞こえてきましてー」


越谷さんには笑顔で答える寛。

絶対、嘘だ。
私が避けまくっているから会いにきたんだ。
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