ただ、君の隣にいたいだけ
綾羽さんが返事をした瞬間、全員の視線が一気に私に降り注ぐ。そんな、私にアクターなんて出来るなんて思えない。司会ですらやっとの思いでやりたいと思うようになったのに。


ノッポくんをすごいと思った。でも私にそんな決断出来ないよ。運動が得意なわけじゃない。マット運動なんていつからやってない?私が凄いと思ったヒーローショーに自ら出るなんて・・・。



「・・・俺がいるから。一年間だけだけど俺がそばにいて花菜ちゃんが逃げ出したくなったらめいっぱい甘やかしてあげる。だから出来ないなんて思わずにやらなきゃいけないと思って頑張ってほしい。花菜ちゃんだから出来る。俺は、そう信じてるよ」



亮輔さんの言葉が蘇ってきた。あの言葉は司会をやることに対して言ってくれた言葉だけれど・・・でも、亮輔さんは私が出来ると信じてくれている。


その気持ちで今回は私がアクターでもやり切ることが出来ると信じてくれたんだ。彼は言った。これは仕事だって。形は違うけれど会社員や教師、職人さん。みんなそれぞれに仕事をしている。


これは私に課せられた仕事。亮輔さんが任せてくれた仕事。だから、答えはもう出ている。この仕事をやりたいと手を挙げた時点でNOはない。



「・・・はい、わかりました。ナイトピンク、精一杯やらせてもらいます」
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