ただ、君の隣にいたいだけ
「・・・やる気ねえなら辞めろ!!目障りだ」



目の前で寝息を立ててあどけない寝顔で眠っている人と同じ人とは思えない人の言葉。毎日、毎日傷つく。



出来ていないことは自分で分かっているのに棘が突き刺さる。否定されればされるほど私は何のために頑張っているのかなって。好きな人に冷たい視線で睨みつけられることがこんなにも切なくて辛いものだとは思いもみなかった。



そっと髪に触れてみる。私から彼に触れるなんて少し前までなら考えられなかったな。もう一度ゆっくりと撫でてみる。ドキドキするな。


でも、もっともっと彼に触れたい。髪を撫でていた手を少しずつ下ろしていく。瞼、鼻、そして、唇へと。あのキスは気まぐれ?それとも彼の話に泣いたお礼?



気がつかないで。少し近づいては動きを止め、彼が起きないかと様子を伺いながらまた顔を近づける。起きないで、起きないで。


そう思いながら止めることは出来なかった。大胆なことをしているのは自分でも驚くけれどやっぱり触れたいの。




「・・・あなたのことが、好き、です」
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