ただ、君の隣にいたいだけ
「ゆっくり、眠れましたか?あまりにも気持ち良さそうに眠っていたので起こすのやめました。亮輔さん、いつもお疲れだろうから」


「ああ、ゆっくり眠れた。夢も見たよ。俺がテレビのスーツアクターとして活躍してる夢。あまりにも鮮明で一瞬、本当に叶ったのかと思ったくらい」




「・・・そっか。いい夢見られて良かったですね」




そんなに幸せそうに笑わないで。私はそれを考えたくないよ。当たり前に今、同じ時間を過ごしているだけで昨日よりも今日、好きになっていってるのに。



その言葉は私との時間なんて全く無意味なものに聞こえてしまう。上京して、ほしくない。




「花菜ちゃん?どうした?大丈夫?」



悲観的な気持ちが顔に出ていたのか亮輔さんが顔を覗き込むくらい近い距離まで来ていることに気がつかなかった。何でもないですよと首を振る。



本当は何でもないことなんてない。好きですって心から伝えたい。でも、邪魔になるって報われないって分かってるから言えない。
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