ただ、君の隣にいたいだけ
でも今はもうその面影もない。総合複合施設やキャラクター主体のテーマパークが出来るようになってたくさんの遊園地が姿を消してきた。


そして、来年にはここも。寂しいな。でもそれも時代の変化なのかもしれない。



「せっかくだから全制覇しよっか」



手を繋いだまま駆け巡る遊園地の中。本当に亮輔さんは全制覇するみたいでジェットコースターに始まり、誰もいないからとメリーゴーランドにまで。


クルクルと回る白馬に大人二人が貸切状態。思い出すな、お母さんとお父さんに手を振ったこと。お父さんがたくさんカメラのシャッターを押してくれた。



「花菜ちゃんこっち向いて」



その言葉に振り向くと私の後ろの白馬に乗った亮輔さんが少年のいたずらっ子みたいな笑みを浮かべてケータイを片手に写真を撮っている。



「ちょ、ちょっと何、撮ってるんですか?!早く消して。絶対変な顔、してる」



「大丈夫。可愛いよ。すごく、可愛い。大事に取っておこう」



「やめて!そんなの消してくださいよ。私だって撮りますよ」



「いいよ、はい、ピース」
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