ただ、君の隣にいたいだけ
唇が離れたときにはもう止められなかった。言わない、伝えないって決めていた言葉が抑えられず、溢れて。


好き、好きだと何度言っただろう。涙が頬を伝うけれど言葉をやめようとはしなかった。



「・・・ごめん。俺は花菜ちゃんの気持ちに応えられない。それなのに、キスなんてしてごめん。期待を持たせるようなことをしてごめん」



「・・・そ、そうですよね。分かってました。キスも亮輔さんにとったら挨拶代わりみたいなもんですよね」



違うよ。それだけでも聞きたかった。だけど、彼は否定も肯定もしてくれなかった。観覧車はもう地上に降りつく。



「ごめんな、俺が甘やかしてやるって言ったのに、もう、優しくなんてできない。花菜ちゃんはアクシーズで居場所を見つけていい人と出会ってほしい。これ以上特別視はしない。俺は、花菜ちゃんの家を、出るよ」



初恋の場所で初恋の人としたキスはあまりにも悲しいもので実らなかった思いだけがいつまでも消えないまま私は観覧車の中で、亮輔さんの前でボロボロに涙を流した。
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