ただ、君の隣にいたいだけ
今日はもう、無理しなくていいから。観覧車からも降りれないくらい傷心の私の手を引くように亮輔さんはそっと観覧車から降りた。魔法は解けた。


亮輔さんは観覧車から降りた後、そう言って私に背を向け歩き始めた。バカだな、私。伝えないって決めてたのに。


亮輔さんを困らせることしか出来なくて、家まで出て行くって言わせちゃった。お父さんの許可も下りていないのにどこにいくつもりなんだろう。


もしかして、綾羽さんのところ?どこに行くとしてももう私にはそれを聞くことすら出来ない。



私は亮輔さんに振られたんだ。涙を拭って歩き出す。ここでこんな風に辛い思い出を作ってもう足を運びたくないなんて思いたくない。


ここはアクシーズの聖地。私はここでヒーローショーの舞台に立つんだ。



一歩、一歩噛み締めて歩を進める。ファミリーパークは私が出るのを待っているだけ。早く出なくちゃ迷惑がかかる。繋がれた手は温かかった。キスは愛おしかった。



でも、それもきっと全て夢のような一時。私の気持ちは受け止めてもらえなかった。
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