ただ、君の隣にいたいだけ
「・・・それでも、練習に来たのはノッポくんがやりたいって思ったからだよね?」



「えっ?」



「彼女に振られてもここに来たのはノッポくんが練習したいって思ったからでしょ?私もね、すごく辛いことがあったの。でも練習を放り出すことなんて出来なかった、したくなかった。ノッポくんだってきっと同じ気持ちだと思う。だからさ、せっかくここまで来たんだし、頑張ろう。一人なら辛いだろうけど私も同志だから励ましあって頑張ろうよ」



亮輔さんが私に差し伸べてくれた手、今度は私がノッポくんに差し出した。


少し躊躇ってノッポくんは私の顔と手を交互に見つめた後、ありがとなと私の手を取ってくれた。



「そういえば相原さんって何歳?」



「今年、短大卒業して21歳になります。ノッポくんは?」



「ノッポって俺は川崎拓馬。拓馬って呼んでよ。俺も花菜って呼んでいい?ちなみに俺も同い年」



「そうなんだ。庄野くんも同い年だしなんだか親近感湧くね」



私は知らなかった。



拓馬くんが元気になって一緒に練習場へ楽しく笑いながら向かう姿を亮輔さんが切なそうに見つめていたなんて。
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