ただ、君の隣にいたいだけ
「あっ、悪い。ちょっと電話だ。花菜、一人でも大丈夫?」



「うん、大丈夫。もしかして彼女??ゆっくり話してきてくださーい」



拓馬くんは携帯を手に出て行ってしまったから私は一人ぼっちになっちゃった。拓馬くんが一人でも大丈夫?と聞いてくれたのには理由がある。それは私がマスクを着けているから。


どうせなら本番と同じほうが余計に覚えられるかなと思って。とはいえほとんど見えないし、暑い。でも、本番では脱いだりなんて出来ない。



「肩に力、入れない」



ナイトピンクはお嬢様。肩に力が入ったガチガチのアクションなんて似合わない。優雅に魅せる。


今度のヒーローショーの見せ場はなんと言ってもニューエース庄野くんと敵、ディアボロスとの一騎打ち。結構長い間2人で戦うんだよね。それに私たちがピンチになったとき助けに来てくれるナイトシルバーのヒーローショーでの初お披露目。


テレビでは新キャラとして少し前から登場していたけれどヒーローショーでは夏が初めての登場。ナイトシルバーがピンクを庇ってくれるシーンがあるんだけれど密かに楽しみだったりしてる。



だってスーツを着て、マスクを被っていても亮輔さんが私を庇って盾になってくれるなんてドキドキもの。って私は何、考えてるのよ。練習、練習。
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