ただ、君の隣にいたいだけ
話の通じないタラシとなんて出かけたくない。私は忙しい。忙しいの。お母さんからついでもらったご飯を受け取って居間の座卓に座る。うちにはリビングなんてものはない。昔造りの家だから平屋の二階建て。


昔はご飯はみんなで居間で食べるのが定番だったな。お母さん、お姉ちゃん、私
。お父さんはお母さんにお店を任せて単身赴任をしている。というのもここは元々お母さんの実家。


おばあちゃんが亡くなって一人ぼっちになったお母さんがおじいちゃんとお店を自分が何とかしたいと私が2歳の頃に引っ越してきた。おじいちゃんは私が高校の頃に亡くなった。



お父さんは元々転勤族であちらこちらを転々としていたからいつも単身赴任。だから私はたまに帰ってくるお父さんに会えることが楽しみで仕方なかったんだ。


でも今は会いづらいな。お父さんも私の夢を応援してくれていたから。



「花菜ちゃん、おばさんだって言ってるんだし、行こうよ。どうせ忙しいって言ったってバイト情報誌とにらめっこするくらいだろ?気分転換になるよ、行こう」



黙々とお母さんの作ってくれた朝ごはんを食べながらせめて働くくらいはなんとかしなくちゃなと思っていたらタラシが自分のご飯を持って私の隣に座ってきた。


まだ誘うか?!タラシだから女の子の扱いは任せろとか思ってんのかもしれないけどこんなしつこいのは返ってお断り。
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