ただ、君の隣にいたいだけ
何がシェアハウスよ。よくもまあそんな嘘が吐けたもんね。


気まずそうな表情を浮かべる亮輔さんを尻目に私はこれでもかと笑顔で河島さんに答えた。



玄関で待っていてくれた愛梨さんと拓馬くんにことの真相を話して先に帰ってもらった。二人はいつも電車で帰る私を駅まで送ってくれる。反対だからと断ったけれど夜道は危ないからと。


そしてその愛梨さんを送って拓馬くんはやっと自分の家路に着く。本当、つくづくアクシーズにはいい人ばかり。



「遅いな、亮輔さん」



勝手に決めたからやっぱり嫌だと河島さんに話しているのかな。私は待たせていた二人に先に帰ってもらうように伝えたかったから先に来たけれど亮輔さんはなかなか来ない。


玄関はここ一つだけだから逃げることはないだろうけどまだ躊躇っているのかな。


まあそもそもうちにいることが気まずくて家を出たわけだからそんなうちにまた来るなんて来づらいよね。


でも、河島さんも困っているみたいだったし、お金だってそんなに持ってないだろうからやっぱりうちに来てもらうのが一番河島さんだって安心するだろうしね。
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