ただ、君の隣にいたいだけ
「じゃあ出発するね」



どうか、事故にだけは会いませんようにと心の中で何度も唱えたまま亮輔さんの運転する車は走り出した。



「どう?気分とか悪くない?」



幸先悪いスタートだったけれど亮輔さんの言うように感覚が戻ってきたのか運転に対しての不安は徐々に落ち着いてきた。

その不安が治まったからか今度は亮輔さんと車内に二人っきりだという妙な緊張感。



「あのさ、その・・・ごめんな。明日にはどこか違うところ探すから」



「・・・亮輔さんは嫌ですか?うちに戻ってくること」



「そ、それは・・・」



「亮輔さんさえ良ければまた戻ってきてください。明海も喜びますよ。それにお母さんだって。私のことで戻りにくいのならそれは気にしないでください。私も亮輔さんが戻ってきてくれたほうが安心です」



俯きながら伝えた。前言撤回。



もう一度気持ちをいうことはやめにしよう。それで亮輔さんが戻ってきてくれるのならいつまでも引きずるばかりじゃなく、前に進まなきゃ。
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