ただ、君の隣にいたいだけ
「そう。それが優等生の俺の模範解答。俺と付き合っても構ってあげられない。贅沢もさせてあげられない。そばにもいられない。ならこんな俺なんかより他の男と幸せになってほしい」



「・・・分かりました。話はそれだけですか?私・・・」



「待って!!言っただろ?それは優等生の俺の模範解答だって。でも花菜ちゃんは俺をズルイ男だって言った。それが俺にとって救われたんだ」



「どういう、ことですか?」



もう聞きたくないと立ち上がろうとしたのに呆気なく手を掴まれた。二度も同じ人に振られたくない。聞きたくない。それなのにズルイ男で救われたなんてわけわからないよ。


こっち向いてよと言われて身体の向きは変えられても視線は合わせられない。



「俺だって男だからさ、好きな子が他のヤツと楽しそうにしてたら嫉妬するし、独占したいって思う。でも、告白を断った俺にそんな資格なんてない。それでもあの時、どうしても止められなかった。そんな俺をズルイって花菜ちゃんは言ったよな。ああ、そうかって。だったらとことんズルイ男になろうと思った」



「私を振り回して、最後は捨てるってことですか?」



「今から残酷なこと、言うよ。俺はお金も持ってない。安定した職でもない。幸せにしてあげるなんて絶対に言えない。大事にするから、泣かせたりなんてしないから。そんなことも言えない。でも、花菜ちゃんのことは好きなんだ。俺はいつか、絶対にテレビで活躍するスーツアクターになる。だから・・・そのためにも花菜ちゃんは俺のものになってよ。俺が安心して上京できるように。 花菜ちゃんの気持ちには応えられない。でも、花菜ちゃんは俺の気持ちに応えてほしいんだ」
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