ただ、君の隣にいたいだけ

何、それ。私の気持ちには応えられないのに俺の気持ちには応えてほしいって。どういうこと？全然わからない。


さっきまで全然泣けなかったのに涙が瞳に目一杯溢れる。そんな私を亮輔さんはギュっと抱きしめてくれたけれど腕を回す事が出来ない。



「花菜ちゃんの気持ちに応えて付き合うのは出来ない。でもやっぱりズルイ男なんだ、俺は。どんなに泣かせると分かってても傷つけると分かってても花菜ちゃんが、欲しいんだ」



「どういう意味か、わかりません。私の気持ちに応えられないのに亮輔さんの気持ちに応えてほしいなんてわからない」



「・・・俺は普通の彼氏のように記念日を豪華な場所で祝ったりもできない。高いプレゼントを買ってあげることも出来ない。普通の彼氏と同じような付き合いが出来ないから応えられない。だけど、花菜ちゃんが俺のだって言えるように名目上だけは俺の彼女でいてほしい。何も、しないから」


胸を押して彼から離れ、亮輔さんを睨みつける。ふざけんな、そんなことで私の気持ちに応えられないなんて絶対そんなの認めない。



「名目だけの彼女？ふざけないでよ。私が亮輔さんにそんなこと期待してるって思ってたの？そんなこと一度だって期待してない。それなのにそんなこと言うなんて、私の気持ち見くびらないでよ！」



「でも、友だちの話を聞けばきっと羨ましくなるよ。どこかに連れてってほしい、何かを買ってほしいって。何もしてあげられない。でも・・・」



「だから名目だけ彼女？何もしない？そんなの私が耐えられない。そんなの無理。私は亮輔さんの気持ちには応えられません」