ただ、君の隣にいたいだけ
「もし、妊娠していたらどうするつもり?黙って下ろす?それとも産む?なんとか、言えよ。これ以上俺を本気で怒らせんな。なんで黙ってた?そんなに俺は頼りないかよ?」



「そ、そんなことない。違う、言わなかったのは迷惑にしかならないと思ったから。亮輔さんは春から夢を叶えるために上京して一歩、進もうとしているのにそんなときに妊娠しているかもしれないなんて言うとただの迷惑にしかならないと思ったんです」



口を開かずにはいられなかった。頼りないなんて一度も思ったことない。そんな風に言わないで。悪いのは私、全部、私。



「俺、花菜ちゃんが黙って俺の子を下ろしてても、産んでても絶対に許さない。花菜ちゃんだけの子どもじゃない。俺にも口を出す権利ある。だから、もう一人で悩むなよ。二人の大事なことだろ?頼むから一人で結論出さないで。明日、二人で病院行こう」



ギュッと抱きしめられて耳元で言われた言葉は私が考えたこともないことだった。絶対、迷惑だと思った。


夢の足枷にしかならないと思った。言って嫌われたくなかった。だけど今、こうして亮輔さんの腕の中にいられる。



きっと子どもがお腹の中にいてももう不安になんてならない。
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