ただ、君の隣にいたいだけ
「相原さん、今日は一人?ちょっと辛そうだから付き添いの方には私から話そうか?そのほうがいいでしょ?落ち着くまで少し休んでなさい」

看護師さんが出て行き、亮輔さんを呼びに行った。ありがたかった。私からどう言えばいいのかわからなかったから。亮輔さんが診察室に入ってきて隣に座り、女医さんの話を聞いている姿をただ呆然と見ている私は情けないと思う。


勝手に不安になって放置してやっと決心したら亮輔さんを怒らせて。それでも私を受け止めてくれた亮輔さんに私はどんな風に接すればいいんだろう。



「そうですか。それで彼女の身体は大丈夫なんですか?」



「そうね、お薬を出しておくからそれで生理が来るか様子を見ましょう。あまり悩まず、ストレスは溜めないように。よろしくね、彼氏さん」




傷心の私の代わりに亮輔さんが会計を済ませてくれて処方箋をもらって薬局にも連れて行ってくれた。大丈夫?と何度も声を掛けてくれて離れないように繋いでくれている手。


本当は亮輔さんだって私に何か言いたいに決まってる。繋がれた手を無理矢理離し、亮輔さんの前に飛び出した。



「花菜ちゃん?」



「ごめん、なさい。勝手に勘違いして亮輔さんを振り回して。でも、でも・・・ごめんなさい。子ども、出来てて欲しかった。あんなに不安だったのに亮輔さんがくれた言葉が嬉しくて。先生に妊娠していないって言われて目の前が真っ白になってすごく悲しかった」
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