ただ、君の隣にいたいだけ
止められなかった。ポンポンと口をついて出てくる不満。亮輔さんにこんなこと言っても嫌な気分にさせるだけだと分かっていつもなら絶対に口を閉ざしたまま。


でも今は気持ちが完全に興奮しているから自分でストップすら掛けられなかった。もう、亮輔さんがどう思うかすらも考えられないくらい。



「・・・ごめん、気がついてあげられなくて。ごめん。身体が悲鳴を上げるくらい花菜ちゃんを苦しめて、傷つけて。嫌いになるわけないだろ？ありがとう。話してくれて」



ありがとうって何？だって私、亮輔さんの負担になるようなことしか言ってない。それなのにどうして感謝の言葉？どうして謝るの？？


涙を拭うこともせずそっと後ろを振り返ると薄っすらと涙を浮かべた亮輔さんが嬉しそうに笑っていた。



「やっと花菜ちゃんが本音を話してくれて嬉しい」



これからはちゃんと思ったときに言って。それに俺は行くなって言われるとそれだけ思われてると思って逆に嬉しくなる。頭を撫でてそんなことを言われるとまた予想外で頭が着いていかない。



亮輔さんがそんな風に言ってくれるから少しだけ本音を伝えてもいいんだって私の心を軽くしてくれた。
< 215 / 231 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop