ただ、君の隣にいたいだけ
亮輔さんは平日の夜、18時から21時までヒーローショーの練習をしてるらしい。



毎日そんな練習するんだろうかと思ったけれど確かにファミリーパークのヒーローショーは他のヒーローショーとは比べものにならないから間違いではないんだと思う。



「普通のヒーローショーなら練習一回で後はリハーサルをして本番なんだけどファミリーパークのヒーローショーは練習量も半端ないし、次のショーは『大会』って言って各事務所との合同なんだ。とりあえず今は俺たちだけで夏休みのヒーローショーに向けてやってるんだけどね」



「でも、夜はヒーローショーの練習で朝はうちの店番や明海の世話なんて休む暇もないし、しんどくないんですか?元々、店番はともかく明海の世話をするのはおかしいと思ってたんです。お姉ちゃんも働きたいなら保育所に入れるべきだと思う」



「・・・そっか、あいつ。花菜ちゃんには何も話してないのか。花菜ちゃん、俺は別に明海の世話をしてるつもりなんてない。一緒に遊んだり、食べたり、時には昼寝したりしてるだけ。だから負担なんてない。それにさ、保育所に入れたくても入れない人たちがたくさんいるんだよ。だからあいつにはそんなこと言ったらダメだよ」



あいつ・・・その敬称が二人の関係の近さを物語っている。別に二人は同い年なんだし、お母さん同士が友だちなんだから昔から会ったりしてたんだと思う。



でも、なんだろう。確かに8個も違うから分からないけれどそれだけじゃないような気がする。だからどうしたのよ。二人の関係なんて別に私には関係ない。



でも、せっかく熱弁してくれた仕事の話も今はちっとも耳に入ってこないくらい自分が動揺してた。
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