ただ、君の隣にいたいだけ
繁華街からどんどんと田舎へ。私の乗った電車は進んでいく。窓から見える景色もどんどんとのどかになっていって懐かしい気持ちに心が馳せた。



もうすぐ乗り換え。この線に乗ると私の地元。特急電車みたいにスピードがないこの線はゆっくり、ゆっくり街を眺めるかのような速さで走り始める。



私が通っていた高校の校舎が見えた。自転車で通っていた高校。懐かしいな。そうやって窓から外を眺めていると観覧車が見えてきた。思わず立ち上がった。



あの観覧車は初めて男の人と乗った
観覧車。




帰ってきたんだ、私。ここ地元青池に。ファミリーパーク前で電車を降りた。いても立ってもいられなくて私の足は実家よりも先にファミリーパークのほうに向かった。


駅からは徒歩5分。土日や祝日には多くの家族連れが降りたこの駅も今日は閑散としている。しばらく歩くと青池ファミリーパークと掲げられた看板が見えた。



さすがに一人で中に入る勇気はなくて外から携帯を観覧車に向けて一枚写真を撮った。閉園するまでにまた来られたらいいな。



そう思っていた私はこれから一年間、このファミリーパークと深い関わりを持つなんて想像もつかなかった。
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