ただ、君の隣にいたいだけ
「で、どうしたい?出て行ってほしいならそう言って。それに聞きたいことがあるなら俺で答えられることなら全部答えるよ」



腕を掴まれたまま、連れて来られた公園。力は弱まったけれどまだ腕は離されない。階段を上った屋根のあるベンチに座らされた。


同じ公園でも隔離されている空間。よくここはカップルが話してるけれど少し離れた場所では子どもたちが滑り台を滑ったりブランコに揺られて楽しそうに笑っている。それなのにここだけは今、静寂に包まれている。



亮輔さんの言葉に口を噤んだ。出て行って欲しいわけじゃない。ただ亮輔さんの知っていることを私が知らないのが悔しかった。私は家族なのにって。


きっと亮輔さんはそんな私の思いも汲み取ってるんだと思う。だけど私が、私から口を開くまで何も言わないつもりなんだ。どうしてこんなに厳しいんだろう。



気持ちを分かってくれているなら先読みしているのなら話してくれたらいいのに。



「・・・あの、お、お姉ちゃんとはその、付き合ってたんですか?」



ようやく意を決した開口一番の言葉がそれだった。自分でもビックリ。まさかそれが一番聞きたかったなんて。


亮輔さんも少し驚いた表情を見せたけれどクスリと笑い絶対にあり得ないとキッパリ断定した。
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