ただ、君の隣にいたいだけ
「いや、でもまさかそんな発言が出てくるとは思わなかったな。もしそんな歴史があれば、俺、夏樹先輩に殺される」



「確かに。お義兄さんってお姉ちゃんを溺愛してる感じですもんね。でも、だったらお姉ちゃんが明海のことで悩んでいたのなら真っ先に気づいてあげて欲しかったな」



「夏樹先輩、今仕事でプロジェクト任せてるらしいし、昇進にも繋がるみたいだから必死なんだよ。それに今は明菜も離れてる時間が多いから明海との時間をすごく大切にしてるみたいだし、明海もおばさんや花菜ちゃんと一緒にいられて笑顔が増えてきた。花菜ちゃんが戻ってきたんだ。俺は用済み。花菜ちゃんがちゃんと言ってくれれば俺は出て行くよ」



表情がコロコロと変わる人。最初は強い眼差し、少し驚いた表情を見せてすぐに子どもみたいに笑った。


そして今は少し動揺しつつ、悲しそうに笑っている。出て行ってなんて言うつもりないのに。そんなに不安にならなくてもいいのに。



「・・・亮輔さんは私が帰ってくると聞いて、どう思ったんですか?お母さんと明海とうまくやってるところに娘とはいえ、私が戻ると聞いてやっぱり居づらいと思わなかったんですか?」



「早く、会いたかったよ」
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