ただ、君の隣にいたいだけ
「・・・入って」



10分ほど大雨の中、走ってたどり着いたのはネオン街ではなく、白い外観の2階だての家だった。


ここってもしかして、亮輔さんの家?ガチャガチャと鍵を開けて中に促されると廊下の奥からパタパタとスリッパの音が響く。



「いやーっ花菜ちゃん?久しぶりね。美人さんになっちゃって。まあ話は後にしてとりあえずお風呂入っちゃって。沸かしてあるから」



早く早くと急かされるまま、靴を脱ぎ家の中に入る。こっちよとあっという間に洗面所に連れて来られ、ごゆっくりとドアが閉められた。


カゴの中には多分、恵里奈ちゃんの服であろうTシャツとハーフパンツが置かれていて下着はまだ袋に入ったまま。わざわざ用意してくれたんだ。


お言葉に甘えてお風呂に入らせてもらうことにしようかな。外からは亮輔さんと下ちゃん、いやさすがにもう下ちゃんとは呼べないな。おばさん?の声が聞こえてくる。


タクシーで帰ってきなさいよとか花菜ちゃんが風邪ひいたらどうするのとか。そんな言葉に亮輔さんはうるさいなと一言。


なんだかまた違った亮輔さんに出会えそうで連れてきてくれたのが実家で良かったな。
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