ただ、君の隣にいたいだけ
「亮輔、迷惑掛けたりしてない?毎日、練習で帰りも遅いのにごめんなさいね」



「い、いえ。こちらこそ明海がお世話になってるし、助かってます」



「本当ならうちからもまだ通える距離なのに全部お世話になっちゃって申し訳ないわ。ごめんなさいね。うちの人がもう少し聞き分けがいいならいいんだけど」



「えっ?ど、どういうことなんですか?」


「そっか、花菜ちゃんは最近こっちに戻ってきたんだっけ?あの子が花菜ちゃんの家でお世話になってるのはうちの人が亮輔のことを追い出したからなのよ。28にもなって夢を追ってるなんて俺は認めないなんて言って。今までは寮に入ってたから良かったんだけど行くところがなくなって困ってた亮輔に声を掛けてくれたのが相ちゃんだったの」



初めて聞く話だった。何も言わずに聞いていると亮輔さんがお風呂から上がってきたみたいで余計なこと言うなよとおばさんに怒鳴る。



「あら、本当のことじゃない」


「母さん、もういいから。花菜ちゃん、俺の部屋行こう。母さんといたら余計なことばかり言うから」


「まあ失礼ね。花菜ちゃん、変なことされそうになったらすぐおばさんを呼んでね」


「俺は高校生か。そんなことするか、バカ!」



会話だけ聞いてたら高校生ですよ。と心の中でつっこんだことは内緒にして。


行こうと言われリビングを後にする亮輔さんに着いて行くことにした。
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